パワーユーザーレポート1-2(寺澤 任弘氏)

OpenStreetMap の SketchUp での活用

SketchUp は標準機能で OpenStreetMap の地図画像を取り込むことが可能となりましたが、以下のWEBサービスやアプリケーション、プラグイン等を利用することで、OpenStreetMap の情報を2D・3DモデルデータとしてSketchUp に取り込むことが可能です。

(1) OSM2WORLD (JAVA アプリケーション)

http://osm2world.org/

https://wiki.openstreetmap.org/wiki/OSM2World

OSM2WORLD_SS.png

OSM2WORLDは、OpenStreetMap の編集画面でエクスポートしたファイル (maps.osm) を読み込んで3D表示するJAVA アプリケーションです。(実行するためにはJAVA の実行環境のインストールが必要)

http://www.oracle.com/technetwork/java/javase/downloads/jre10-downloads-4417026.html

OSM2WORLD がエクスポート可能なデータ形式は、*.obj と *.pov なので、SketchUp に直接読み込みはできないため、読み込み可能なデータ形式(*.stl, *.dae, *.3ds 等)への変換、あるいはOBJ形式データを直接インポートするためのプラグインなどが必要です。

OSM2WORLD_SS_workflow.png

OSM2WORLD_SS_SKP.png

OBJ ファイルを MeshLab に取り込んだ場合は上の画像のように、全ての面が3角形のポリゴンメッシュとなってインポートされるため、その後の SketchUp での処理にはそれなりの手間がかかります。

(2) skp2osm (プラグイン)
https://wiki.openstreetmap.org/wiki/Skp2osm
skp2osmは、基本的には SketchUp を使って OSM に建物形状を追加するためのプラグインです。
OpenStreetMap の編集画面でエクスポートしたファイル (maps.osm) を直接 SketchUp に読み込み、建物形状を SketchUp で編集した内容をファイルメニューから *.osm 形式でエクスポートすることができます。

このプラグインでエクスポートされた *.osm ファイルは JOSM で読み込んでから OSM データベースにアップロードします。
(このプラグインは機能拡張マネージャがサポートされる以前からあるものなので、所定のプラグインフォルダ(*1)にマニュアルでインストールする必要があります。)
(*1)
WIN : ¥Users¥(USER NAME)¥AppData¥Roaming¥SketchUp¥SketchUp 201X¥SketchUp¥Plugins
MAC : /Users/(USER NAME)/Library/Application Support/SketchUp 201X/SketchUp/Plugins

skp2osm_SS_SKP.png

建物データは面として取り込まれるので、個別に Push/Pull して高さ情報を与え、3D化することが可能です。また、SketchUpで建物形状を新たに入力してエクスポートしたものを、JOSM などのエディタで開いて、OpenStreetMap にアップロードすることができます。

skp2osm_SS_workflow.png

(3) CADMAPPER (WEB サービス)
https://cadmapper.com/

CADMAPPER_SS_SITE.png

ブラウザで CADMAPPER にアクセスして、メールアドレスを登録してアカウントを作成、ログインすると、指定した範囲の地図情報をOpenStreetMap から直接読み込み、いくつかの形式の2D/3Dデータをダウンロードできます。サポートされているデータ形式は以下の通りで、指定すると OSM の建物情報を3Dとして取り込むことができます。

CADMAPPER_SS_data.png

CADMAPPER では、読み込む範囲が1km2までは無料でダウンロードできますが、1km2 を越えると有料となり、2km2 までは $6.00、以降1km2 ごとに $0.60 ずつ加算され、読み込み可能な最大範囲の 64km2 までの場合 $43.20 となります。広範囲となる場合は3Dデータを生成するために処理時間を要するので、データが準備できたことをメールで知らせるオプションなどもあります。

前回示したとおり、OSM の道路は、ある地点とある地点を結ぶ線で表現され、道路幅の情報をもたないため、モデル化にあたってはいくつかの設定が必要です。
[Create roads as:] ではプルダウンメニューから、道路をどう表現するか、3種類(中心線、幅を持った面、アウトライン)の中から選択し、さまざまに定義された道路のタグを大きく4つに分類して(highway, major roads, minor roads, footpaths)それぞれの道路幅を何メートルとするか指定します。
[3D Buildings (where data available)] にチェックをつけると、建物情報がある場合、3Dモデルが生成されます。この時、OSMの建物情報に高さ情報が指定されていない場合のデフォルトの高さを指定しておきます。
その他、地形データを生成するかどうか、10mごとの等高線を生成するかどうかも指定できるうようになっています。
設定確認後、[Create File] ボタンを押すと、1km2以内であれば少し間を置いてページがリフレッシュされ、生成されたデータの状況が表示され[Download]ボタンからファイルをダウンロードできるようになります。

CADMAPPER_SS_download.png

データ形式を SketchUp とすれば、ダウンロードファイル(ZIP形式)を解凍して、すぐに内容を確認できます。

CADMAPPER_SS_SKP.png

データはレイヤ分けはされた状況となっていますが、グループ/コンポーネント化さていません。道路は[アウトライン]とした場合は面の情報はなく、端点同士が結合されない状況です。[面]とした場合は各ノード毎に、端点部分は指定した道路幅を直径とした円となっており、道路全体として結合されていない状況です。このままで扱う場合は別として、取り込み後の処理にはそれなりの手間がかかりそうですが、ゼロからこの状況のモデルデータを作成する分は、かなりの省力化が可能です。

(4) PlaceMaker V2 (プラグイン)
https://www.alphacox.com/placemaker/

PlaceMaker を SketchUp の機能拡張マネージャからインストールすると、 CADMAPPER同様、OSM から直接3D化されたモデルを生成できるようになります。
CADMAPPER と比較すると PlaceMaker ではさらに以下の様な機能が実現されています。
・解像度を指定して DigitalGlobe の衛星写真画像の一括取り込みSketchUp は DigitalGlobe から衛星写真画像を取り込み可能ですが、画像の解像度を上げようとする場合は、画像を拡大して(取り込み範囲を縮小して)数回に分けてずらしながら取り込む必要があります。PlaceMaker では取り込み範囲を指定して、画像の解像度を4段階(最高・高・中・低)で指定するだけでこの分割処理を一括して自動処理してくれます。
解像度を高くするほど多くのタイルクレジットが必要で、2kmx2kmで最高解像度の場合7x7=49タイルクレジット消費します。

placemaker_dialog_ss2.jpg

・CADMAPPER では道路幅の設定が4種類であるのに対して、PlaceMakerでは6種類の分類(主要道路、一般道路、住居系道路、サービス道路、未分類、小道)で道路幅を設定します。OSM の道路は地図を表現するための線情報とその分類情報しかないため、モデル化する上では道路幅をいくつにするか設定しているので、実際の道路の状況を正確に再現するものではありません。PlaceMakerでは道路幅の指定の他に、その道路に車線数が指定されている場合に、1車線の幅を指定することもできるようになっています。

placemker_douro.jpg

・建物情報については、CADMAPPER では単に建物高さによる指定(高さ指定のない場合はデフォルトの高さ)であるのに対して、PlaceMakerでは、その建物に階数(レベル)の指定がある場合、その階高(レベル高さ)を指定することもできるようになっています。また、高さをランダムに生成するオプションや、建物にテクスチャ情報(色情報)が指定されている場合はその情報を取り込むオプションもあります。
また、CADMAPPER で取り込まれる3D建物は一律フラットな平面を基準として取り込まれるのに対して、PlaceMakerでは高低差のある地形情報に合わせて、その地形サーフェス上に建物の接地面を合わせて取り込むオプションもあります。

placemaker_suidou.jpg

・さらにPlaceMakerでは、水域・水面を取り込んだり、OSM上にプロットされている樹木の配置情報も取り込み可能となっています。
取り込む樹木は SketchUp 側の指定されたフォルダ内のフェイスミーオブジェクト(コンポーネント)として、配置されるので、取り込んだ後でもコンポーネントの置き換えが可能です。また、Twinmotion などのレンダラーに取り込んだ後でもこの樹木のコンポーネントを詳細な樹木のモデルに置き換えできるので、単にゼロから樹木を手作業で配置することと比べるとかなりの省力化が可能です。

placemaker_all.jpg

PlaceMakerでは DigitalGlobe から衛星写真画像、OSM から道路・小道・建物・水面・樹木、それぞ れの情報を個別に必要なものだけ取り込み 可能です。(全てを一括で取り込みも可能)また、それ ぞれ構成要素のレイヤ分けとその表示・非表示を設定したシーンも自動的に設定されます。

Placemaker_SS05.png

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