倉庫レイアウトとは?考え方や設計時に意識すべきポイント・設計の流れを解説

倉庫レイアウトとは?考え方や設計時に意識すべきポイント・設計の流れを解説

倉庫レイアウトは、業務における作業効率や物流コストの削減、作業ミスや事故防止につながります。
本記事では、倉庫レイアウトを見直すメリットから設計ポイント、具体的な流れについて解説していきます。

倉庫レイアウトの改善が重要な理由

まずは、倉庫レイアウト設計を見直すのが重要な理由について解説していきます。

作業効率化につながる

倉庫レイアウトを改善することで、作業の効率アップにつながります。無駄な作業の削減は、ヒューマンエラーや出荷ミス防止にも効果的です。

実際に、南山大学では倉庫レイアウトを適切に設計することで、従業員の移動距離が約10%変化した、という事例があります。
参考:倉庫内での作業効率を上げるための適切な配置|南山大学

コスト削減が期待できる

倉庫レイアウトの最適化は、人件費や管理費などのコスト削減につながります。
例えば、従業員の作業時間の短縮・労働量の削減が可能です。さらに、余分なスペースの有効活用による、在庫管理や倉庫の拡充などにも効果的です。

作業ミスや事故防止につながる

適切な倉庫レイアウトの設計には、以下を押さえておく必要があります。

  • ・「業務に必要なこと」
  • ・「従業員の動線」
  • ・「倉庫に出入りする人数」

これらを、あらかじめおさえておくことで、遅延や誤出荷などのミスや想定外の事故防止につなげられるでしょう。

レイアウト変更の手間をなくす

倉庫内のレイアウト変更は、頻繁に行えるものではありません。そのため、現在の稼働状況だけでなく、在庫予測や事業計画なども含めたレイアウト設計を行いましょう。
また、近年では物流ロボットなど自動化整備が進化し続けています。人だけでなく、ロボットが動きやすい動線なども考慮したうえで、レイアウトを検討しましょう。

倉庫レイアウト設計時に意識すべきポイント

ここでは、倉庫レイアウトの設計時におさえておきたいポイントを解説します。

入荷から出荷までの流れを把握する

まずは、商品の入荷から出荷までの流れを把握しましょう。一般的な倉庫内での作業は以下になります。

1. 入荷
2. 入荷検品
3. 棚入れ
4. 保管
5. ピッキング
6. 出荷検品
7. 出荷

作業面と保管面のバランスを考える

倉庫のレイアウトを考える際、保管量(在庫商品の量)だけを考えてしまうと、従業員の作業スペースが狭くなり、作業効率が低下する原因になります。
商品の入出荷をスムーズに進められるように、作業の流れや頻度、その作業を行うスペースと商品の保管量のバランスを確保することが求められます。

レイアウトは一筆書きを意識する

倉庫レイアウトを設計する際には、一筆書きを意識することが重要です。一筆書きとは、作業の流れを途切れさせずにスムーズに進めることを意味します。
一筆書きの種類には、I字型とU字型の2つがあります。

I字型

I字型レイアウトは、直線的な動線で入荷から出荷までの流れを一直線で並べていくスタイルです。入荷商品と出荷商品を混同させずに作業ができます。
また、商品を直線に並べるためデッドスペースを少なくできます。特に狭い倉庫では在庫を確保しやすいです。

U字型

U字型レイアウトは、入荷エリアと出荷エリアが同じ出入口側に配置されます。片方に入荷商品を置き、奥の保管スペースでUターンをして、もう片方の出荷エリアに戻ってくるというレイアウトパターンです。
これにより作業の流れがスムーズになります。特に、複数の作業ステーションが必要な場合や、作業の流れが複雑な場合に適しています。

U字型は効率的なスペース利用が可能で、作業者の移動距離を最小限におさえることができます。I字型と比べて作業スペースが狭くなりますが、入出荷の場所が近いため、従業員同士の連携がスムーズに行いやすいです。

空きスペースを確保する

一時的に商品を置いておける空きスペースの確保も、レイアウト設計には重要です。
スペースがないと、新しいアイテムを保管したい時や繁忙シーズンで在庫を増やしたい場合に対応ができなくなります。そのため、一定の空きスペースの確保は重要なポイントの1つです。

倉庫の種類によってレイアウトを変える

在庫が一定数ある倉庫の場合は、商品のピッキング作業が発生します。そのため、前述した作業面と保管面とのバランスを考慮したレイアウト設計が必要です。
一方で、在庫をそこまで必要としない倉庫の場合は、運搬トラックとの連携の取りやすさや作業場所を広く確保したレイアウト設計が望ましいでしょう。

倉庫レイアウトを設計する際の流れ

ここでは、倉庫レイアウトを効果的に設計するための具体的な流れを解説します。

1. 現状の問題・課題点を整理、把握する

まずは、問題点や課題点を見つけることが大切です。

  • ・倉庫内の通路の幅は適切か
  • ・倉庫内の動線は適切にとれているか
  • ・作業空間と在庫保管のバランスはとれているか
  • ・商品の場所はわかりやすい設計になっているか
  • ・従業員に無駄な動きがないか

このように、実際に倉庫内を観察しながら考えられる課題を洗い出してみましょう。思い当たらない部分は従業員へヒアリングを行いましょう。

2. 倉庫の目的を明確にする

次に、倉庫の目的を明確にします。

  • ・商品の入出荷をスムーズにしたい
  • ・ヒューマンエラーを減らしたい
  • ・ロボットの導入、作業の自動化を取り入れたい

このように明確な目的を持つことで、倉庫の適切なレイアウトをイメージしやすくなります。

3. 全体のレイアウトを決める

問題点と目的を整理できたら、実際に倉庫全体のレイアウトを決めていきます。デッドスペースを極力なくしたレイアウト設置が重要です。
先述したように、行き止まりを作ると作業効率が悪くなるため、一筆書きスタイルのレイアウトがおすすめです。

4. 商品の保管場所を決める(ABC分析で分類する)

商品の保管場所には、商品の優先度別に分ける作業が必要です。物流業界では「ABC分析」と呼びます。

  • ・A(出荷頻度が高い):作業効率を優先する
  • ・B(出荷頻度が並み):作業効率と保有効率のバランスをとる
  • ・C(出荷頻度が低い):保有効率を優先する

このように、出荷頻度に合わせた分析をおこないましょう。

5. 収納アイテムを用意する

倉庫内では動線を組んだ保管場所だけではなく、収納方法も作業効率に影響します。そのため、自社で扱う商品に合わせた収納アイテムの検討が必要になります。

  • ・軽量・中量ラック:商品を段ボールのまま保管が可能。商品の大きさに合わせて棚の大きさを変更できる
  • ・パレットラック:商品をパレットに載せたまま保管が可能。重量のある商品を保管できるが導入には工事が必要
  • ・ネスティングラック:パレットを保管できる棚。積み重ねが可能なため、レイアウト変更しやすい

ここでは、ラックの例で紹介しましたが、自社の倉庫に適切な収納アイテムを導入しましょう。

SketchUpで倉庫レイアウト図を作成しよう

倉庫レイアウトの設計を具体的にするには、視覚的に確認できるレイアウト図が不可欠です。そこで役立つのが、3Dモデリングソフトの「SketchUp」です。
SketchUpは操作が直観的で、3D初心者でも簡単に使いこなせるソフトです。使い方の例を紹介します。

図面や寸法を基に倉庫モデルを作成し、棚やパレット、作業スペースといった要素を配置して、レイアウトをシミュレーションします。
この際に3Dモデル使うことで、動線やスペースが可視化できるため、倉庫を有効活用するためのレイアウトを考えやすくなります。

レイアウト設計にSketchUpを活用することで、より使いやすいレイアウトを構築して、実際の倉庫運営で想定される問題を防ぐことが可能になります。

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ポイントをおさえて最適な倉庫レイアウトを設計しよう

倉庫のレイアウトは一度決めてしまうと、中々変更することはできません。そのため現状の課題だけでなく、事業の目標や将来の在庫数などを見越し、長期的な観点で最適な倉庫を作りましょう。
また、レイアウト設計時にはSketchUpの活用がおすすめです。製品については以下より詳細をご確認ください。

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