建築パースとは?その役割や作成方法について解説!
建築設計などに関わる場合、建築パースを理解しておくことは大切です。その役割を学ぶと、設計だけではなくマーケティングにも役立つことがわかります。本記事では、建築パースとはなにか、その役割や重要性、パースの表現手法や作成方法について解説します。
目次
建築パースとは?
建築パースは、建築物の設計をする際に使用される視覚化手法の一つで、建物や空間を立体的に表現する図法のことを指します。そもそも、パースは「Perspective Drawing」の略称で、建物などを立体的な絵にした透視図を描く図法です。
建築パースを使用すれば、デジタル空間上で建物の外観や内部空間を立体的に確認することができ、建物の形状、色、材質などをイメージしやすくなります。そのため、建築物などの設計者とクライアントとの意思疎通を円滑にする効果があるのです。
建築パースの知識や技術は建築設計者にとって重要であり、建築物のイメージをよりリアルに相手へ伝えることができる点でも習得しておくべきものだといえます。
建築パースの役割と重要性
建築パースは、イメージを可視化できるという点で重要な役割を果たします。なぜなら、建築設計者やクライアントが建物の外観や内部空間をイメージし、共有するための重要なツールになるからです。
建物のデザインや空間配置、色や素材の選定など、細かい部分まで確認できるため、建物の外観や内部空間に問題がある場合でも、それを視覚的に発見しやすくなります。
たとえば、窓やドアの位置が悪い場合、建築パースを使用してそれを確認し修正できますので、実際の建築工事中に問題が発生する可能性をできる限り減らすことができるでしょう。このような問題回避ができれば、コストの削減にもつながります。
建築設計者やクライアントが、建物の外観や内部空間を第三者に説明する際に有用です。そのため、不動産業界でマーケティングのツールとしても使用されています。たとえば、建物の外観や内部空間をリアルに表現することで、建物の魅力を強調し、販売促進に役立てることができるのです。
建築設計者やクライアントが建築パースを使うことには、建物のイメージ共有や問題点の発見、コスト削減、プレゼンテーション、マーケティングなどの多くの利点があります。
建築パースの表現手法
建築パースの表現方法にはいくつかの手法があります。また、パースにも2Dパースと3Dパースの2種類があります。
ここでは、パースの種類についても触れながら、代表的な建築パースの手法を見ていきましょう。
手描きパース
手描きパースは、手で線を引いたり色を塗ったりして、建物の外観や内部空間を描き出す手法で、主に2Dパースで描かれます。2D パースとは、平面的な図面で表す視覚表現方法のことです。
2Dパースならば、専門的なソフトウェアや知識がなくても画像を作成できることはもちろん、色味などを含めて顧客に先入観を与えないというメリットがあります。作成には時間がかかり、デッサンのスキルも必要ですが、個性的で自由度が高く、表現力に優れていることも特徴です。
ただし、2DパースはCADなどのソフトウェアで平面図や立面図として描かれるものもあるため、2D=手描きパースという解釈ではありません。2Dパースには、コンピューターを使って描く方法と、手描きで描く方法があると覚えておくとよいでしょう。
CGパース
CGパースとは、コンピューターのソフトウェアで3Dモデリングを行い、建物の外観や内部空間を表現する手法のことです。
CGパースは手描きパースに比べ、迅速かつ正確に作成できるという特徴があります。たとえばレンダリングソフトを使えば、建物の外観や内部空間をよりリアルに表現可能です。照明効果や質感表現など、細かい部分まで表現できますので、よりリアルなモデルを作成ができます。
CGパースの詳細については、「CGパースとは?種類や活用される場面、制作方法などを紹介」の記事で詳しく解説しています。
外観パースと内観パースの違い
パースの対象物(被写体)は、大きく2つに分かれます。それが、外観パースと内観パースです。
外観パースは、建物の外観を描いた建築パースであり、建物の立体的な外観を表現します。一方、内観パースは建物内部の空間やインテリアデザインを描いた建築パースです。
つまり、外観パースは建物の外から見たイメージ、内観パースは建物内部から見たイメージをそれぞれ表現するものです。
外観パース
外観パースでは、建物の外観の材質や色、窓やドア、屋根の形状、周囲の環境や景観も含めて描かれることがあります。主に、建物の完成予想図として利用されることが多い傾向です。外観パースの具体的な活用例としては、販売用のパンフレットや広告、Webサイトなどが挙げられます。
内観パース
内観パースでは、建物内部の空間配置や物の配置、日差しや照明の位置や強さ、壁や天井の色などが描かれます。具体的には、実際の建物のインテリアデザインを決定するために利用されています。
建築パースの作成方法
建築パースを作成する方法は、手描き、あるいはコンピューターを使用したデジタル描画の2種類があります。ここでは、コンピューターを使用した一般的な方法を見ていきましょう。
ステップ1:設計する
CADや3Dモデリングソフトウェアで、3D空間に設計図を描いていきます。このとき、最初は 2Dパースの平面図や立面図で、建物の配置などを決定していきます。
建築図面については、「建築図面とは?図面の種類や図面の基本的な書き方を解説」の記事で詳しく解説してます。
ステップ2:建物の3Dモデルを作成する
設計図を基にして、CADや3Dモデリングソフトウェアで建物の3Dモデルを作成します。3Dモデルでは、色や材質なども詳細にモデリングしましょう。また、3Dモデルにカメラの視点の設定も行います。
3Dモデリングについては、「3Dモデリングとは?表現の種類や3Dモデリングソフトの選定ポイントなどを解説」の記事で詳しく解説してます。
ステップ3:マテリアル・ライティング
3Dモデルなど、モデリングしたものをリアルに表現するために、光(太陽光や照明)を追加したり、モノの素材感を足したりします。
ステップ4:レンダリングする
設定したカメラの視点から、パース図をレンダリングしていきます。レンダリングには、一般的に専用のソフトウェアが使用されます。ソフトウェアを使うことで、建物の材質、光、影、反射など、細部までの描画を効率的に行うことができるでしょう。
たとえば、設計データを基にクオリティの高い映像やパノラマ、360°VR ビデオなどを素早く簡単に作成できるソフトウェア「Twinmotion」もおすすめです。Twinmotion の詳細については、こちらをご覧ください。
レンダリングについては、こちらの記事をご覧ください。
ステップ5:色を補正する
レンダリングされた画像を修正し、実物に近づけていきます。具体的には、色や明るさなどを調整して、リアルな見栄えにして、見た人がイメージしやすいように仕上げていく工程です。
建築パースを作成するならSketchUpがおすすめ!
建築パースを作成するためには、まずは設計が必要です。設計図ができたら、それを基にCADや3Dモデリングソフトを使用します。このように、いくつかのソフトウェアを使い分けてパースを作成していくのが一般的です。
そのため、利用するいくつかのソフトウェアについて、オペレーションを習得しなければなりません。また、それぞれのソフトウェアを購入しなければならないため、工程ごとにコストがかかります。しかし SketchUp ならば、ソフトウェアを使い分けることなく基本的な3Dパースが作成できるのです。
SketchUpは3Dモデリングソフトウェアであり、直感的な操作で利用できるという大きな特徴を持っています。SketchUpは建築パースを作成するための基本的な機能を備えています。
たとえば、手描き風スケッチや色鉛筆スケッチなどは、SketchUp が備える標準機能として備えられているため、これら機能だけでも次のような手描き風のパース作成が可能です。
このように、SketchUp の標準機能だけでも手描き風を含めたパースの作成は可能ですが、さらに高品質で写実的な表現を希望される場合は、プラグインを導入しましょう。
プラグインには、たとえばレンダリングソフトが挙げられ、「SU PodiumV2.6」や「V-Ray」が用意されています。
SketchUp Proのプラグインについては、こちらをご覧ください。
また、レンダリングソフトの利用を想定している場合は、SketchUp Studioを選択しましょう。最初からV-Ray が付属しているので、レンダリング機能を使う場合はSketchUp Studioがおすすめです。
SketchUpは料金も比較的安価で、SketchUp ProとSketchUp Studioの2種類からサブスクリプションライセンスを選べます。SketchUp ProとSketchUp Studio の他、教育用のSketchUp Studioも選択できます。また、SketchUpは7日間の無料体験が可能な評価版を利用できますので、初めて使う方は評価版を試してみるのもよいでしょう。
また、SketchUp の詳細については、「SketchUpで3Dモデリング!機能やおすすめポイント、導入方法などを解説!」の記事で詳しく解説しています。
建築パースはSketchUpで作りながら学ぼう!
建築パースとは、建物や空間を立体的に表現する図法のことです。建築パースを使うことで、これから作るモノを相手に伝えやすくなりますし、初めて見る方にもイメージしてもらいやすくなります。建築パースについての基本的な知識や役割、重要性がわかれば、次は実践です。手軽にパースを作成できるSketchUp Proや SketchUp Studioを使って、ご自身で描きながら効率的に習得してみてはいかがでしょうか。最初は、7日間無料利用できる評価版から試してみてもよいでしょう。SketchUpで3Dモデリングをしたプランデータから、自動でパースを作成するサービスを利用してみるのもいいかもしれません。
参考:
建築パース制作のプロが薦める3DCGソフト厳選4つ | 株式会社モデルノ
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