店舗レイアウトを設計する6つのポイントとは?考え方やメリット・得られる効果について解説

店舗のレイアウトは、お店の売上や顧客満足度に大きな影響を与えるため、非常に重要です。売り場の配置を工夫することで、顧客が自然に店内を回遊し、商品を手に取りやすくなる動線ができるため、その結果、売上アップにつなげることができるでしょう。
本記事では、店舗レイアウトの基本の考えから設計を考える上での重要なポイント、得られる効果について解説していきます。
目次
店舗レイアウトはAIDMA(アイドマ)の法則を活用しよう!
店舗レイアウトによって、顧客が商品を手に取る可能性は大きく変わってきます。まず店舗を訪れる顧客目線に立つことが大切。顧客心理を知るのに役立つのが「AIDMA(アイドマ)の法則」と呼ばれる心理モデルです。
AIDMAの法則とは、以下の5つのステップから成り立つ消費者行動モデルです。
- Attention(注意)
- Interest(興味)
- Desire(欲望)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
この法則を店舗レイアウトに取り入れることで、お客様の購買意欲を効果的に引き出すことができます。
AIDMAを活用する具体例としては以下です。
- ・入口付近に目を引くディスプレイを配置してAttention(注意)を引く
- ・店内の動線を工夫してInterest(興味)を持たせる
- ・商品の魅力を引き立てる陳列方法でDesire(欲望)を喚起
- ・記憶に残るような工夫を施すことでMemory(記憶)を強化
- ・レジや購入エリアへのスムーズな誘導でAction(行動)を促進
このように、AIDMAの法則を意識したレイアウト設計は、顧客の購買行動を自然に導くために非常に有効です。
店舗レイアウトを設計する上で重要な6つのポイント
ここでは、店舗レイアウトを設計する上で重要なポイントを6つ解説していきます。
1.顧客が入りやすい入口を意識する
店舗の入口は店舗の「顔」とも言える部分です。顧客が入りやすい雰囲気を作るために、明るく開放的なデザインを心がけましょう。
具体的には、魅力的なディスプレイや看板を配置することで、初めての顧客に対して入りやすい雰囲気を作れます。また、入口周辺には季節感を取り入れた装飾や、宣伝情報を取り入れることで、顧客の興味を引きやすくなります。
入口のデザインが魅力的であれば、自然と足を運びたくなる店舗になるでしょう。
2.顧客が長く滞在する動線を意識する
顧客が店舗に長く滞在するためには、動線設計が重要です。動線とは、顧客が店内を移動する際の経路を指します。
例えば、店内の中央に広い通路を設けることで、顧客が自由に移動しやすくなります。また、商品の配置にも工夫が必要です。
人気商品や新商品を動線上の目立つ場所に配置することで顧客の興味を引き、滞在時間を延ばすことができるでしょう。さらに、休憩スペースや試着室など、顧客が一息つける場所を設けることも、滞在時間を延ばすための有効な手段です。
3.死角をなくす
店内に死角が多いと、顧客が商品を見逃して機会損失が発生します。さらに、死角は防犯上のリスクも高めます。
例えば、棚の配置やディスプレイの高さを工夫することで、店内の視界を広げます。また、鏡やガラスを効果的に使用することで、視覚的な広がりを持たせられます。
照明の配置も重要で、暗い場所を作らないようにして、顧客が安心して店内を回遊できる環境を整えると良いでしょう。
4.よく売れる場所には適した商品を置く
店舗内には、どの場所よりもよく売れるような「ホットスポット」が存在します。ホットスポットには、特に売りたい商品や利益率の高い商品を配置すると効果的です。
例えば、入口付近やレジ周りは顧客の目に留まりやすく、購買意欲を刺激しやすい場所です。また、店内の中央部や通路の交差点も注目されやすいポイントでしょう。
これらのホットスポットを活用することで、売りたい商品を前に押し出せて、売上向上につながります。
5.顧客、スタッフの動線を意識する
スタッフの動線は短く効率的に、顧客動線は長くなるような工夫が重要になります。客動線とスタッフ動線はなるべく交わらないように仕掛けることがポイントです。顧客がスムーズに店内を回遊できる動線設計を行うことで、快適なショッピング体験を提供できます。
例えば、通路を広く取り、商品棚の配置を工夫することで、顧客が自然に店内を移動しやすくなります。一方で、スタッフの動線も効率的に設計することも大切です。
スタッフが迅速に商品補充や接客を行うには、バックヤードと売り場のアクセスをスムーズにすることが必要です。これにより、業務効率が向上し、顧客へのサービス品質も向上します。
6.陳列棚は「ゴールデンライン」を意識する
陳列棚の配置は、店舗レイアウトを考える際に非常に重要です。特に「ゴールデンライン」と呼ばれる、顧客の目線の高さに位置する棚は、最も注目されやすい場所です。
このエリアに商品を配置することで、顧客が自然と興味を持ち、手に取りやすくなります。ゴールデンラインは一般的に、床から約120cm~160cmの高さです。
この範囲に人気商品や新商品、売りたい商品を配置することで、売上の向上が期待できます。また、視覚的なディスプレイを心がけることで、顧客の購買意欲をさらに高めることが可能です。
業種別の店舗レイアウトについて
ここでは、業種別の店舗レイアウトを紹介していきます。
スーパーマーケット
スーパーマーケットの店舗レイアウトは、顧客が商品を選びやすいように、ワンウェイコントロールされた動線がおすすめです。ワンウェイコントロールとは、顧客を意図する動線通りに歩かせることです。
一般的には以下のワンウェイコントロールを行います。
- ・入り口に野菜や果物
- ・肉や魚は野菜につながる位置
- ・卵や牛乳は購入率が高いため後回し
上記のように、最も目につきやすい入口付近には、日常的に購入される野菜や果物などを配置し、肉や魚は野菜からつながる配置にします。
また、どこに配置をしても購入頻度が高い卵や牛乳はお店の奥に配置して、顧客動線の途中で売りたい商品を陳列します。このように、売りたい商品を通過させるような工夫をすることが大切です。
飲食店
飲食店の店舗レイアウトは、顧客にとって居心地のいい空間とスタッフの効率を考慮した設計がおすすめです。
まず、入口付近にはメニューを掲示し、また目立つディスプレイを配置するなど来店時の印象を良くしましょう。
客席は、個々の顧客のプライバシーを保ちながらも、スタッフがスムーズに料理を運べる動線を確保します。例えばカウンター席や個室、テーブル席を提供し、多様なニーズに応えられる配置が望ましいです。そして厨房と客席の配置は、料理を提供するのに待機時間を短縮するために工夫すると良いでしょう。
飲食店のレイアウトは全体を通じて、その飲食店のテーマや雰囲気を反映させることも、顧客の印象を強くする要素となります。
アパレルショップ
アパレルショップの店舗レイアウトは、商品の魅力を引き立てるために重要です。
まず、入口付近には季節にちなんだ注目の商品やセールアイテムを配置し、顧客の関心を惹きます。商品のディスプレイは、色やサイズごとに整理し、視覚的に分かりやすく配置することで、顧客が探しやすくなります。
また、顧客が手に取った商品をすぐに見られる鏡や試着室などの配置もポイントです。さらに、レジを1番奥に設置するなど顧客が店舗内を長く回遊する動線にすると良いでしょう。
適切な店舗レイアウトを考えるメリット・効果とは
ここでは、店舗レイアウトを整えるメリットを解説します。
顧客満足度が向上する
店舗のレイアウトを整えることで、顧客の利便性が高まるため、顧客満足度も高くなります。顧客が商品を見つけやすく自然な流れで店内を移動できることで、ストレスを軽減させ、その店舗への印象も良くできます。
販売、接客など効率化につながる
店舗を適切なレイアウトにすることで、商品を陳列する場所やその数量の最適化につながります。特に動線を考慮したレイアウトは、顧客がより多くの商品を見て回ることができるようになるため、結果的に購買点数が増える可能性があります。
商品やサービスの魅力を引き立てられる
人気商品や新商品を目立つ位置に配置することで、店舗に足を運んだ顧客に対し、購買意欲を喚起できます。また、商品の特徴や魅力を伝える見せ方を工夫することで、顧客の関心を惹き、商品の価値をより明確に伝えられます。
適切なレイアウトは、顧客が商品を見やすく手に取りやすい環境を提供し、購買率を高める効果があります。全体的に店舗レイアウトを最適化することで、商品の魅力を最大限に引き出し、売上向上につなげましょう。
3Dモデリングソフトで店舗レイアウト図を効率的に作成しよう!
店舗レイアウトを効果的に設計するためには、視覚的に確認できるツールが不可欠です。SketchUpは、そのようなニーズに応えられる3Dモデリングソフトです。直感的な操作性と豊富な機能を持つSketchUpの活用は、店舗のレイアウト図を簡単に作成できます。
店舗の3Dモデルを作成すれば、それに対する寸法入力が可能です。また什器などのボリューム検討や、ディスプレイの配置シミュレーションなどにも応用できます。これにより、実際の店舗運営においても、効率的かつ効果的なレイアウトを実現することができます。
SketchUp ProとSketchUp ProScan、SketchUp Studioに付属するLayOut機能では、3Dモデルから2Dの図面を作成、パースを配置した説明可能な資料を作成できます。
詳しくは、SketchUp活用例の「SketchUp活用事例 住商インテリアインターナショナル デジタル世代のインテリアデザイナーが推す使えるデザインツールの条件」で解説しています。
売上アップにつながる店舗レイアウトを設計しよう!
今回は、店舗レイアウトについて、設計時のポイントや業種別のポイント、レイアウトを考える上でのメリットなどを解説しました。
SketchUpなどの設計ツールを活用して、今回解説したポイントを取り入れたレイアウト図を作成し、実際の店舗運営に役立てましょう。
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