2つの3Dモデリング方式!ヒストリーCADとノンヒストリーCADの違いとは?
3D CADのモデリング方式は、大きく分けると「ヒストリー型」と「ノンヒストリー型」の2つが存在します。ただこの2つには優劣はありません。得意分野が異なるのです。今回はそんなヒストリーCADとノンヒストリーCADの違いを解説。また、それぞれのメリットとデメリット、向いている制作物についてもご紹介します。
目次
ヒストリーとノンヒストリーの違いとは?
「ヒストリー型」と「ノンヒストリー型」は、どう違うのでしょうか。そもそも「ヒストリー」とは「履歴」のことを指します。簡単にいうと、履歴が残るのがヒストリー型、履歴が残らないのがノンヒストリー型なのです。「履歴が残るならそっちの方がよいのでは?」と感じるかもしれません。しかし、この履歴というのがくせもので、履歴は長所にも短所にもなるのです。それでは、両者の違いを詳しく見ていきましょう。
ヒストリー型3D CADの特徴
まず、履歴の残る「ヒストリー型3D CAD」の特徴を解説します。
ヒストリー型のメリット
ヒストリー型は、設計を変更するのが容易です。例えば、部品の穴の数を後から変えようとしたときに、履歴をさかのぼって穴数を変えるだけで修正が可能となります。それまで設計した過程が記録されているため、いくらでも過去に戻って修正できるというわけです。
ヒストリー型のデメリット
そんなヒストリー型ですが、デメリットも存在します。ヒストリー型では、フィーチャー履歴や親子関係を意識しながら作成する必要があるのです。特に親子関係には「親を削除すると子も削除される」「親を移動させると子も連動する」といった特性があります。何も考えずに作り進めていると、修正した際に「必要な部分まで一緒に消えてしまった」というような、意図しない不具合が起きかねません。そうなれば修正に時間がかかってしまうだけでなく、場合によってはモデルが崩れてしまう危険もあります。これは、設計過程が記録されているがゆえの縛りだといえるでしょう。ヒストリー型の3D CAD設計では、モデリングに慣れるまで経験が必要になります。
ヒストリー型が向いている制作物
ヒストリー型で制作するのは「ひんぱんに修正が発生するもの」が向いています。目的のイメージがあいまいな状態で作成を始め、試行錯誤を重ねながらモデルを作っていくといった場合はヒストリータイプがよいでしょう。また、履歴の残るヒストリー型モデルは、データを流用する際にも便利です。作成モデル自体の修正はなくても、改良型の作成まで見込むならヒストリー型にしておくとよいかもしれません。
ノンヒストリー型3D CADの特徴
次は、履歴の残らない「ノンヒストリー型3D CAD」の特徴を解説しましょう。
ノンヒストリー型のメリット
ノンヒストリー型は、履歴を持たないためヒストリー型のような条件を意識しなくてもよいのがメリットです。また、履歴情報を含まない分データが軽くなるのも特徴。2D CADの延長に近い感覚で操作が可能なので、3Dモデリングに慣れていない初心者でも比較的扱いやすいでしょう。モデルを大胆に変更することも可能なので、手間と時間を考えなければどのような形にでも作り変えることができます。
ノンヒストリー型のデメリット
一方、ノンヒストリー型は修正するのに手間がかかるのがデメリット。履歴を持たないということは、過去にさかのぼることもできないということです。従って、ヒストリー型のように「穴の数を変えたい」と思っても、「一度穴を全部埋めてから再度開け直す」といった作業になります。
ノンヒストリー型が向いている制作物
修正に手間と時間がかかるノンヒストリー型は「目的のイメージがはっきり分かっているもの」の制作がおすすめ。難しい条件を考えなくても作成していくことが可能なノンヒストリー型では、作成スピードがヒストリー型より早いからです。
目的に合わせた使い分けを
ヒストリー型とノンヒストリー型の違いについて、ご理解いただけたでしょうか。このような違いを知っていれば、目的に合った3D CADのタイプを選ぶことができます。上手に使い分けて、効率よくモデリングを行いましょう。
参考:
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