【CAD選びのポイント】2Dと3Dを比較―それぞれのメリットとは

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3D CADはどのような進化を遂げてきたのでしょうか。また、2D CADと3D CADを比較したとき、それぞれにどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。メリット・デメリットを確認しながら、3D CADの選び方をご紹介します。

CADの歩み

当たり前のように使われているCADは、どのように進化してきたのでしょうか。CAD選びのポイントを考えるために、CADの歴史を振り返ってみましょう。

世界最初のCAD、「Sketchpad」が生み出された1963年当時、まだコンピューターは非常に高価で、ごく一部の企業しか所有できないものでした。もちろん当時は紙とペン、そしてドラフターによる製図が主流で、この方法はまだまだ続くと考えられていたのです。しかし、そこから50年の間に、予想をはるかに上回るスピードでハード・ソフトともにコンピューターによる製図は進化し、急速にCADの普及が進むこととなります。

実は、2D CADさえ普及が進んでいない1970年代から、すでに3D CADの開発は始まっていました。これはまだ研究段階であり、当時のコンピューターの能力的にも製品化はまだ少し先のこととなります。

1980年代前半になると、2D CADが普及し始めます。この時期になると図面精度と作業効率が向上し始め、1980年代後半には早くも3D CADが発売開始。これにより形状把握が容易になっていきます。まだコンピューターは高価で、UNIX上でCADを動かすためのものは大企業にしか手の届かないような代物でした。

1990年代、パソコンの革命がCADの普及にも大きな変革を与えました。1995年にWindows95が登場し、同年にsolidworksも発売されました。ここから急激にPCの普及は加速し、CADの普及も追従していくことになります。こうして2000年代には、ハード・ソフトともに中小企業でも入手可能な価格へと変化していきました。

また、3D CADではそれまでワイヤーフレームとサーフェスのみで捉えていた形状をソリッドとして捉え、体積や質量計算が可能になるものが登場。また同時に、ソリッドでの表現は干渉チェックも可能にしました。

CADはクラウドでの運用もされるようになり、過去のハード・ソフトという考えの枠を超えた運用方法と普及の広がりを見せています。

3D CADのメリット・デメリット

このような進化を遂げてきたCADは、建設・建築を含む多くの分野で今や3Dが主流となっています。例えば、建設分野では実際の建物の形を3Dで見ることにより、顧客との商談・打ち合わせがスムーズになるというメリットがあります。3D CADには、このほかにどのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

3D CADと2D CADの比較・メリット・デメリット

3Dには次のようなメリットがあります。

  • 直感的な形状の把握が可能
  • 顧客への視覚的提案が容易
  • 体積・表面積・質量・重心等の計算ができる
  • 干渉チェックができる
  • デジタル環境でプロトタイプを作成可能
  • 3Dプリンタを使ってモックアップを作成可能

3D CADにはデメリットはほぼないといえますが、あえて挙げるなら次のような点です。

  • 2D環境の取引先とのやり取りは効率が低下する
  • 2D図面に慣れた人にとってはスケール感がつかみにくいこともある
  • データが大きい・表示が重い

では、2D CADにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。これは、3D CADにとってのメリット・デメリットの裏返しとなる部分が大部分です。それ以外の部分で挙げるとすれば、次のようなことがメリットとなります。

  • 三角法にのっとり従来の作図をコンピューターでできる
  • 価格が安い

BIMと3D CAD

これらのメリットに加え、建設・建築分野で3D CADが使われる理由にBIMがあります。

BIMとは、近年注目される建設・建築における設計手法のひとつです。コンピューター上でモデリングした建物に対し、それぞれのパーツに寸法・素材・工程などの詳細な情報まで書き込むことで、すべての情報が共有・一元化されます。しかしこれは設計だけでなく、工程や資材価格までも内包する総合的なプロセスであるため、設計を含む生産管理の手法でもあります。

BIMでは最初に3Dモデルにより設計し、そこから2D図面を切り出す手法をとります。全ての図面が3Dモデルにひも付けられ、1つの図面を修正すると関連するほかの図面も自動的に修正されます。これにより、図面修正時の不整合や手戻りを減らすことができ、時間短縮につながります。

また3Dモデルならではの特徴として、建物を取り囲む風や熱の計算も可能という点があります。従来の2D設計では説明しきれなかった事項を施主に伝え、合意形成に活躍するでしょう。

海外で普及したBIMは、多くのメリットがあることから国内でも広まりつつあります。これと同時に、BIMにとって欠くことのできない3D CADの重要性が大きくなっているのです。

3D CAD選びのポイント

このように多くのメリットがある3D CADですが、選び方を間違えると逆に効率を落としてしまう結果になりかねません。3D CADを選ぶ際には次のようなポイントが重要となります。

  • 直感的な操作が可能
    多機能な3D CADでは、操作が複雑になるほど作業効率の低下は大きくなります。直感的な操作は作図効率化と見積もり提出の迅速化に直結します。
  • モデル作成の自由性
    操作の容易性に加え、コピー、回転、色塗りなど3Dモデル作成時の自由性も重要です。
  • 豊富な機能
    機能の少ないものを選ぶと後悔する可能性があります。多機能な3D CADを選んでおくことで、3Dモデリングの効率化を進めることができるだけでなく、使い方の幅も広がります。
  • プラグインによる拡張性
    プラグインにより後から拡張できるものを選ぶことで、初期費用を抑えることができ、また必要になったときに機能を追加できる流動的な対応が可能となります。
  • 自社の設計プロセスに合っているか
    設計プロセスはその会社や設計担当者ごとに少しずつ違います。一括購入してから自社手法に適していなかったとならないよう、無料の試用版があるものだと安心です。
  • BIMに対応しているか
    建設・建築分野ではBIMの注目度が高まっており、これから必須となる可能性もあります。BIMに対応できるものを選びましょう。

3D CADのメリットを最大限に活用するために

CAD発展・進化の歴史を振り返りながら、2D CADと3D CADを比較し、それぞれのメリットとデメリットについて解説しました。

3D CADは、設計の現場において今やなくてはならないものとなってきています。今回ご紹介したポイントを踏まえ、3Dによる設計のメリットを最大限に活用できるCADアプリケーションを選びましょう。

参考:

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