ランドスケープデザインとは?その役割やメリットなどを解説



ランドスケープデザインは、私たちの暮らしに大きく関係するものです。街の風景や景観、個人宅の庭などにもランドスケープデザインが取り入れられています。これからランドスケープデザインを学ぶにあたり、基礎知識を学びたい、どのようなメリットをもたらしているのかを知りたいという方もいるでしょう。本記事では、ランドスケープデザインとは何か、その役割やメリットなどについて解説していきます。

ランドスケープデザインとは

ランドスケープデザインとは、屋外の風景や景観を設計・構築することであり、公共空間デザイン全般を指す用語です。そもそも、ランドスケープは日本語で「風景」や「景観」という意味で、これらをデザインすることをランドスケープデザインと呼びます。

私たちが暮らす街にある公園にも、ランドスケープデザインが取り入れられている場所はあります。四季折々の花や樹木が、地形や太陽の光のあたり具合なども考慮して配置され、遊具やベンチなどと調和してリラックスできる空間は、地域の価値を高める役割も果たすことでしょう。

ランドスケープデザインの変遷

ランドスケープデザインは、アメリカで確立されました。18世紀のイギリスで発展したランドスケープ・ガーデン(風景式庭園)の影響を受けてニューヨークのセントラル・パークを設計したフレデリック・ロー・オルムステッドが、ランドスケープアーキテクチャとして提唱したものです。

同氏はその後都市計画や公園計画に大きく関わり、ランドスケープデザインの基礎が築かれました。近年では、地域や国の風景、文化をベースに、それぞれの特徴を取り入れたその土地ならではのランドスケープデザインが展開されています。

ランドスケープデザインの役割

ランドスケープデザインは空間デザインにおいて重要な役割を果たします。その地域の特性を生かして環境を構築することで、人々の営みと自然の営みが調和した場所を創り出すものです。

たとえば、植栽配置などの視覚的な要素では、季節の移り変わりを考慮し、美的なバランスを整え空間全体を演出します。機能的な面では、地形や植生を生かして空間の効率的な利用を計画します。たとえば防災かまどベンチや太陽光発電照明、防災トイレなどを設置するほかにも、災害時にはどちらへ逃げたら良いのか、避難方向が直感的にわかる作りにするなど、防災への備えが盛り込まれることも重要です。公共空間において、歩行者や自転車の動線、ベンチや座席の配置など、人々が施設などの空間を快適に利用できるようにデザインします。

また、SDGsへの取り組みについてもランドスケープデザインが注目されています。都市環境において植物をはじめとする自然環境を採用してデザインすることで、公共の緑地化や樹木の植栽、自然廃水処理などのグリーンインフラの設計になります。グリーンインフラは、人々の健康的な環境生活に貢献するだけではなく、生態系の保護や自然のバランスを取り戻す助けになり、温暖化の緩和や洪水リスクの軽減など、SDGsのさまざまな目標に貢献するのです。
美的な要素と機能性を融合させ、人々が快適で健全な環境で暮らせるようにすること、そして地球環境にも配慮した計画・デザインをすることがランドスケープデザインの役割です。

ランドスケープデザインのメリットと効果

ランドスケープデザインは、私たちの日常に心の安定や環境の向上などをもたらします。ここでは、ランドスケープデザインのメリットや効果をみていきましょう。

美しい景観の提供と心の安定をもたらす

ランドスケープデザインの主なメリットは、そこに暮らす人々や訪れる人が、デザインされた美しい景観によって心地よい空間と時間を感じることです。そして、個人のストレス軽減や心の安定に寄与する効果をもたらします。
たとえば、公園や庭園など美しく整えられた屋外空間では、四季の植物や景色に触れることができ、癒しを享受しリラックスできるでしょう。忙しい日常生活から離れ、自然に囲まれた環境で穏やかな時間を過ごすことが可能です。

植物の浄化作用と生活の質向上

ランドスケープデザインでは、空気の浄化や、緑豊かな環境における生活の質の向上といった効果を、植物の適切な配置で期待することができます。植物は酸素を供給し、有害な物質を吸収することで、屋外の空気を清浄に保ちます。特に、都市部や住宅地などの環境でこの効果は重要です。
新鮮な空気で健康を促進し、住民たちの生活環境を良くするということも考慮してデザインをします。

コミュニティへの良い影響と人々の結びつきを促進

ランドスケープデザインは、コミュニティにも良い影響を与えるものです。
たとえば、美しい公共の屋外空間は人々を結びつけ、共感を生み出します。地域の公園や庭園でのイベントが開催されれば、地域住民が集まる場所となるでしょう。これにより、地域コミュニティの強化につながることが期待できます。

ランドスケープデザインには3Dモデリングソフトが欠かせない

ランドスケープデザインを行う上では「3Dモデリングソフト」の活用が欠かせません。その中でも、特におすすめしたいのが「SketchUp」です。

SketchUpには、学習コストが低く新規ユーザーでも基本操作のコツを習得しやすいという利点があります。直感的なユーザーインターフェースを通じて、3Dモデリングや空間のデザインを行えます。また、SketchUpのデスクトップアプリケーションでは豊富なプラグインが利用できるため、必要に応じて機能を拡張できるのも特徴のひとつです。

たとえば、V-RayはSketchUpのプラグインとしてインストールができ、SketchUp for Desktop(デスクトップアプリケーション)の中でレンダリング操作ができるものです。また、SketchUp(その他のモデリングソフトやCADでも可能)との間でモデルをリンクさせてビジュアライズするTwinmotionは、SketchUpで表示させているモデルをTwinmotionに直接インポートしてビジュアライズすることができます。

V-Rayについてはこちら、Twinmotionの詳細についてはこちらをあわせてご覧ください。

学習コストの低さ、直感的な操作性、そして豊富なプラグインが組み合わさったSketchUpは、ランドスケープデザインを効率的にし、クライアントや住民への説明・プレゼンにも役立つ高品質な成果物を生み出すでしょう。

SketchUpの詳細については、こちらをご覧ください。

ランドスケープデザインは役割や効果を意識してデザインしよう!

ランドスケープデザインは、公園や公共施設など私たちが暮らす街の身近なところで活用されています。その土地の歴史的背景や自然条件が最大限に活用されデザインされた空間は、私たちに心の安らぎや地域住民との交流など、さまざまな効果をもたらしています。ランドスケープデザインは、今後も人々の暮らしに大きな影響を与えるものとして活用されていくでしょう。

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