ARとは?仕組みや種類、活用シーンなどをわかりやすく解説



最近、ビジネスや日常生活でも知られるようになってきたAR、仕事を効率的に進めるための革新的なツールの一つと言われています。そんなARを自社に取り入れビジネスに生かしたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ARの基礎知識やVR・MRとの違い、ARの種類や仕組み、ARの活用シーンなどについてわかりやすく解説します。

ARとは

ARは「Augmented Reality」の略称で、日本語では拡張現実と呼ばれます。現実世界にデジタル情報を重ねて表示することで、現実と仮想情報を融合させる技術です。
たとえば、家具や観葉植物といった購入前の製品を仮想的に設置すれば、実際に部屋においたサイズ感や雰囲気を確認することができます。これから建設する建物を現実の空間に設置すれば、建設後のイメージをリアルに見ることも可能です。

VRやMRとの違い

ARに似た技術に「VR」や「MR」があります。ARとは異なる技術のため、混同しないように注意しましょう。それぞれの技術の違いを簡単にまとめると以下のとおりです。

  • ● AR:現実世界をデジタル情報で拡張する。主にスマートフォンやARグラスなどを使い、画面を通して見ることができる
  • ● VR:仮想現実と呼ばれ、まるでバーチャルの世界に入り込んだかのような感覚を体験できる
  • ● MR:複合現実と呼ばれる、ARを発展させた技術。ユーザーの動きで、拡張されたデジタル情報を操作できる

ARは、スマートフォンやタブレットなど身近なデバイスで利用可能ですが、VRやMRは、ゴーグルなどの装置が必要です。ARは比較的利用しやすく、ビジネスなどに取り入れやすい技術だといえます。

ARの種類と仕組み

ARには種類があり、用途によって使い分けられます。ここでは、ARの主な3つの種類について、その仕組みもあわせてみていきましょう。

マーカー型

スマートフォンなどのARデバイスがマーカーを認識すると、マーカーに合わせてデジタル情報や3Dモデルなどを表示します。マーカーはQRコードや図形・画像などで作成可能です。事前に用意する必要がありますが、マーカーさえあればどこにでもデジタル情報を配置できるため、使い勝手が良い方法です。
たとえば、教育やエンターテインメント、広告や観光案内など、さまざまな用途で利用されています。観光案内に利用する場合は、スマートフォンでマーカーを認識させ、矢印などで目的地の方向や道順を表示させるなどの使い方が可能です。

マーカーレス型

マーカーレス型は、マーカーを使わずに空間にデジタル情報を表示する技術です。目印は不要で、空間やオブジェクトを認識し、周囲の状況に合わせてデジタル情報を表示します。
マーカーレス型が環境を解析する技術として、主に2種類があります。

【空間認識型】

カメラやセンサーで特定の立体物や対象物を検出して、空間を認識する方法です。実際の空間に合わせて、ARコンテンツを配置します。たとえば、居住空間の家具の配置をシミュレーションする際や、建築におけるデザインなどに用いられます。

【物体認識型】

特定の物体や対象物を、スマートフォンなどのカメラで認識し、それに合わせたAR情報を表示する方法です。マーカーを設置できない場所でも、特定のオブジェクトをトリガーにすることで、ARを活用できます。たとえば、美術館や博物館の展示品をカメラで認識させて、情報を表示することが可能です。

GPS型

スマートフォンやタブレットなど、GPSを搭載したデバイスで取得した位置情報を利用して、ARコンテンツを表示する方法です。磁気センサーや加速度センサーでユーザーの動作を認識して表示する情報は、ナビゲーションなどにも役立てられます。たとえば、位置情報、磁気センサー、加速度センサーの情報を検知すれば、ナビゲーションアプリで道案内ができます。スマートフォンの画面に、次にどう進めばよいかという情報を、矢印や看板などのデジタル情報で表示するといった使い方が可能です。

ARの活用シーン

スマートフォンでもARを使ったアプリケーションが増えており、日常生活をはじめ各業界でもARの活用は進んでいます。ここでは、ARの活用シーンをみていきましょう。

教科書に組み込むAR

ARを教科書に連動させることができます。教科書にマーカーを設定しておき、スマートフォンのカメラを教科書にかざせば、動画やアニメーション、シミュレーションなどの動くコンテンツで学習可能です。文字だけの教科書よりも理解が深まるでしょう。

ARを活用したゲーム

ゲームにARを活用すれば、現実世界の風景とデジタル情報のキャラクターやアイテムを融合させることができます。ユーザーがGPS搭載のスマートフォンを持ち歩くことで、位置情報や向いている方向をトリガーにして、ゲーム内のイベントを発生させられます。ARを使ったゲームは、スマートフォンと組み合わせて、ゲームと運動の融合などにも役立つでしょう。

建築物のデザインをARで確認

ARを利用すれば、設計中の建築物のデザインを現実の環境に表示できます。設計者と発注者とで、同じものを3Dモデルで確認することが可能です。建物の外観はもちろん、内部のレイアウトまで仮想的に表示すれば、スマートフォンだけで建築物のデザインをさまざまな角度から確認できます。これにより、発注者からの適切なフィードバックが受けられ、設計プロセスの効率化が可能です。

SketchUp Viewer for MobileのAR機能

ARを利用する建築家は、現実世界にデザインしたモデルを配置して、周囲の状況と見比べながら作業を進められます。また、QRコードをクライアントやチームメンバーと共有すれば、モデルが現実世界でどのように見えるのかを同時に確認することも可能です。
ARで視覚的に共有しながら作業を進めることで、関係者の意見やフィードバックを得ながらモデルを作れるため、制作過程がより効率的になります。また、現実世界に配置した状態を視覚化できるため、より最適なオブジェクトを3Dモデリングしやすくなります。
AR機能を持つ3Dモデリングソフトには、たとえば「SketchUp」が挙げられます。
SketchUp の「SketchUp Viewer for Mobile」は、スマホやタブレットにSketchUpモデルをダウンロードしてビューイングできます。外出先などで3Dモデルをクライアントと視覚的に共有する用途に利用できます。



また、「SketchUp for iPad」でARモードの利用が可能です。


「3D Warehouse」では、QRコード(マーカー型)のAR機能を利用できます。


たとえば、インテリアを提案する際に、施工後のキッチンデザインをARでクライアントに見てもらうことができます。住宅に配置する窓や椅子などを現実空間に表示して確認できるので、よりリアリティーのあるイメージを見ることが可能です。

ARはビジネスや日常生活で活躍の場を広げている!

ARは、現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術です。近年では、スマートフォンでもARが利用できることから、日常生活でも使われるようになりました。また、ビジネスにおいても、建築業や建設業などさまざまな業界が、作業効率化や有効な情報伝達方法として、ARを活用しています。AR技術の基礎知識を得ることが、ARを活用する第一歩です。

建築業界などで3Dモデルのデザインなどを手掛ける方にとっても、ARは重要な技術となりました。3DモデリングソフトのSketchUpでもARに関連する機能がありますので、あわせて参考にしてください。
SketchUpの各機能やサービスについては、下記をご覧ください。


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