CADとは?機能やメリット、導入時のポイントをわかりやすく解説



建築や製造での設計業務の多くにCADが使われています。設計業務に携わっている方で、これからCADを導入したい、あるいは他のCADへの乗り換えを検討しているという方も多いのではないでしょうか。しかし、スムーズに導入して業務の効率化を実現するには、CADがどのようなもので何ができるのかを把握しなければなりません。本記事では、CADとはそもそも何なのか、何ができるのかなどの基本的な知識から、CADを使うメリットや導入する際のポイントなどをわかりやすく解説します。

CADとは

CADとは「Computer Aided Design」の略称です。コンピューターを使って図面の作成を行うためのツールで、建築や製造業界などの設計を必要とする業界の多くで利用されています。
たとえば建築業界では、建物の平面図や立体的なモデルの作成にCADを使います。従来は、手書きで設計図を作成していたため、書くときだけではなく修正にも時間がかかっていました。しかし、CADを使うことでこれらの作業が効率化されました。さらに、設計図面などがデータ化されたことによって、管理や共有がしやすくなりました。
CADには2D CADや3D CADがあり、平面図を書くときは2D CAD、立体的なモデルも作成したい場合は3D CADを利用します。

CADでできること

CADでは主に何ができるのでしょうか。ここでは、一般的な4つの用途をみていきましょう。

設計

CADは、コンピューターを使って設計をするソフトウェアです。設計図面の作成が主な用途となります。設計図面は、2D CADでは平面図、3D CADでは平面図はもちろん、立体的なモデルも作成することが可能です。3D CADならば、2Dの図面から3Dを生成するなど設計図面を効率的に作成できます。

デザイン

CADはデザインにも利用できます。レンダリングの機能を使って、モノの質感や光の反射などを加えてデザインすれば、リアリティがあり完成度の高いデザインを作成できます。よりリアルなモデルを作成すれば、完成図をイメージしやすくなります。

シミュレーション

3D CADでモデルを作成すれば、実際に作ったときのシミュレーションができます。
コンピューターで構造を解析することで、設計に不備や矛盾がないか、どのくらいの負荷に耐えられるのか、耐久性や安全性がどの程度なのかなど、さまざまなシミュレーションが可能です。たとえば、3D CADデータを用いて製造工場の動作をシミュレートできれば、実機での検証時間が削減できたり、準備が効率化できることで、生産性向上やコスト削減につながります。

アニメーション作成

3D CADで作ったモデルで、アニメーションを作成することも可能です。
たとえば、建設する住宅のモデルを3D CADで作成して、人の目線で撮影したアニメーションを作れば、実際に玄関から家に入り、リビングやキッチン、バスルームや階段と移動するようにリアリティのある形で確認ができて、出来上がりをイメージしやすくなります。
他にも、上空から見下ろしたり、パラパラ漫画のように画像を連続で切り替えたりするアニメーションの設定もよく使われます。

3Dプリンター用データ作成

3Dプリンターとは、設計図を元に立体的なオブジェクトを造形することができる機器のことです。3D CADで3Dデータを作成すれば、3Dプリンター成形するオブジェクトの設計図として利用できます。
たとえば製造業では、部品のプロトタイプを3Dプリンターで作成することで、実際と同じような製品を手にとって確かめることも可能です。3Dプリンターを活用することで作業効率も上がり、コスト削減にもつながります。

3D CADのモデリング手法

近年では、3D CADの利用が増えています。ここでは、CADの中でも3D CADの主な3つの手法についてみていきましょう。

サーフェス

物体の表面だけを組み合わせて3Dモデルで表現する手法です。
表面だけしかなく中身は空洞のため、体積や質量などの内部情報を持ちません。しかし、表面だけの情報を組み合わせるだけなので、自由曲面を持つ3Dモデルの作成を得意としています。
たとえば、自動車のボディやパソコンのマウスなど、表面情報を貼り合わせてイメージしやすいモデルの作成が可能です。

ソリッド

サーフェスの表面情報に内部情報も加えて、3Dモデルで表現する手法です。
内部情報があるため、体積や質量の計算ができます。3D CADでは、最も利用されているデータ形式です。ただし情報が多いため、データ容量が大きくなります。

ポリゴン

ポリゴンは英語で多角形という意味を持ちます。3Dモデルでは多角形を組み合わせることで、複雑な形状のモデルの作成が可能です。建築や製造といった分野など、正確な数値管理が必要なシーンには適していませんが、3Dのゲームやアニメーションの制作に利用されています。

3Dモデリングについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

CADを使うメリット

CADの利便性は、手書きで図面を書いたり管理したりする工程などと比較するとわかりやすいでしょう。ここでは、CADを利用する3つのメリットをみていきます。

図面やモデル作成作業の効率化

手書きで書くよりも、設計図やモデルの作成作業が効率的です。
たとえば手書きの場合、修正をするときに消しゴムなどで消して書き直さなければなりません。その際に、修正箇所以外を消してしまったり汚してしまったりすることもあります。しかし、CADを使えば正確にポイントを修正できますし、紙を汚すこともありません。

データ管理の効率化

手書きの設計図は、基本的に紙で保管して管理しなければなりません。保管する設計図の量が多ければ、管理の手間もかかりますし、必要なものをすぐに探すことも難しくなるでしょう。
しかし、CADならばデータで管理できるため管理スペースも必要ありませんし、必要なデータをすぐに検索できます。また、紙のように劣化もせず、データはコンピューターの中やクラウドなどに保存できるため管理が容易です。

データ共有の効率化

データで設計図を作成すれば、社内や顧客とのデータ共有も効率的になります。
たとえば、紙の設計図を共有する場合は設計図をコピーしたりFAXを使ったり、あるいは実際にお互いが会って受け渡しをしなければなりません。しかし、CADのデータならば、メールで送ったり、クラウドストレージにデータをアップロードしたりしてデータ共有をすることもできます。また、離れた場所にいる顧客と同じデータを見ながら設計図を確認したり修正することも可能です。

CADを導入する際のポイント

これからCADを導入する、あるいは他のCADに乗り換えるといった場合、どのソフトウェアを選べばよいのでしょうか。ここでは、CADを導入する際のポイントをみていきましょう。

機能面をしっかり選定する

CADにはさまざまな種類のソフトウェアがあり、搭載している機能も異なります。そのため、導入した後に「使いたい機能が搭載されていなかった」とならないように、事前に機能面をしっかりとチェックすることが大切です。

使いやすいかどうか

ソフトウェアの種類によっては、操作が複雑なものや画面が見にくいと感じるものもあります。そのため、導入する前に、操作感や画面の配置などを確認しておくことは重要です。
たとえば、無料で利用できる体験版などを使ってみるのも一つの手段です。実際に扱ってみて、操作性や各種画面の見やすさをチェックしておきましょう。

価格をチェックする

CADを選ぶ際には、価格も重要な選定ポイントの一つです。CADは、無料で使えるものから高額なものまで、さまざまなソフトウェアが提供されています。まずは使いたい機能を明確にして、それら機能が使えるソフトウェアをピックアップし、価格と総合して判断しましょう。

他のソフトウェアとのデータ連携など

CADで作成した設計図や3Dモデルなどは、データとして扱えます。そのため、汎用性のあるデータ形式のものを選ぶと使い勝手がよいでしょう。データに汎用性があれば、ソフトウェアを乗り換えるときなどに便利です。
また、自社が使っているCADと、取引先が使っているCADのソフトウェア間で、データの互換性があるとデータの受け渡しもスムーズになります。
たとえば、CADデータはSketchUpとの連携が可能なものもあります。CADで作ったデータファイルをSketchUpにインポートして利用することができると便利です。
SketchUpでインポートやエクスポートできるCADのファイル形式については、こちらをご覧ください。また、SketchUpについてはこちらの製品情報などもあわせて参考にしてください。

CADを導入して大幅な業務効率化を実現しよう!

CADを導入すれば、設計図の作成や修正などの作業効率が大幅にアップします。また、紙ではなくデータとして扱えるため、管理や共有が非常にスムーズです。CADはさまざまなメーカーからソフトウェアが提供されていますので、選定の際には使いたい機能を明確にし、操作性などを確かめてください。CADを使いこなして、設計などの業務効率化を実現しましょう。

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